読めばわかるコラム:Vol.15 正しいプロセス・マネジメントが強い営業リーダーには必要だ
トップへ戻るプロセス・マネジメントとは、「目指すべき結果に到達するまでプロセスを標準化、可視化し、そのプロセスの進め方や進み度合いを管理することによって、結果を最大化させる」ことだ。
概念的には理解している方も多いと思うが、「訪問件数」や「見積提示件数」を管理する事だと勘違いしていることも多い。
今回は、本質的なプロセス・マネジメント手法についてお伝えしよう。
“アクション”ではなく“リアクション”
こんな営業リーダーの言葉をよく聞く。
「“見積提示”まで進めば受注確率は50%なのです」
「だから、“見積提示件数”をプロセス指標として設定して、評価項目にも入れてマネジメントしています」
一見、プロセス・マネジメントを行っているように見える。ただ、往々にして実際の営業現場では、次のようなやりとりになっている場合が多い。
営業メンバー:「なんとか、見積だけでもさせてください!」
お客様:「まあ、別にお見積を出して頂くのは、構いませんけど…」
営業メンバーは会社に戻ると、
「今日、“見積提示”1件、頂きました!」
と、上司に報告し見積提示件数としてカウントされる。
しかし、これは本当に商談プロセスが進んでいるという状態とは言えない。
営業の都合による見積書発行という“アクション”をカウントしても意味がなく、この場合は、“見積依頼を受けた”というお客様の反応(“リアクション”)をプロセス指標として設定するのが妥当である。
つまり、お客様から「社内決裁の手続きに入りたいので、正式な見積書を出して欲しい」と依頼される状態にプロセスが進化している証を指標化すべきなのだ。
ここで大切なのは、
営業のアクションではなく、お客様のリアクションをマネジメントせよ!
ということである。
弱点となっているプロセス指標を示し、改善する
アポイント獲得件数、重要項目のヒアリング件数、提案依頼、見積依頼件数、などプロセス指標となる項目はいくつもある。ただ、これらの指標をたくさん掲げて数値化しても意味がない。メンバーに最も意識させるプロセス指標を絞り込み、「まずはこれを頑張れ!」と言うことが肝心だ。
そのためには、優劣の差が出ている指標を見つけることだ。
例えば、アポイント獲得件数は一緒なのに、受注件数は大きく違う。そのプロセス指標をよく見ると、「重要項目のヒアリング件数」が大きく下回っている、というような指標を探すのだ。おそらく、リーダーなら感覚的にその弱点はわかっているはずだ。
その弱点を客観的なデータで示すことで、メンバーに対して説得力がでてくる。
メンバーもその必要性を理解することができ、重要項目のヒアリングスキルの強化、そのための準備などに真摯に取り組むようになるはずだ。
「結果を出せ!」とメンバーに声高に言うことは、誰でもできる。
そうではなく、このようにプロセスの改善ポイントを示し、改善を促し目標達成に導くことが、リーダーがやるべきプロセス・マネジメントなのだ。
このように営業チームで、プロセス・マネジメントの認識がそろってくると、受注確度にもズレがなくなってくる。受注確度を揃える重要性については、以前に書いたのでぜひ参考にしてほしい。