読めばわかるコラム:Vol.19 営業は「スキル」だけじゃない、営業の「型」を教えているか —強い営業チームになるヒント03
トップへ戻る野球の話だが、鋭く落ちるフォークボール、落差のあるカーブを器用に投げることができるピッチャーでも、打者を打ち取れる投球ができない場合がある。これは様々な球種を器用に投げる技能(スキル)は持っていても、打者の特性に合わせて打ち取る配球パターン(型)を知らないからだ。
今回は、「営業スキル」を身に付ける事と、「営業の型」を身に付けることの違いについてについてお伝えしよう。
スキルトレーニングの落とし穴
営業配属された新入社員に、会社紹介、商品説明、事例説明などをスラスラと話せるようなるためのトレーニングを行うことはよくあるはずだ。もちろん、最低限の基礎スキルを身に付けるためには不可欠で、トレーニングをすれば鍛えた部分の完成度は高くなる。
ただ、このような個々の動作を部分的に磨いても、営業として売れるようにはならない場合がある。
例えば、営業メンバーに指導する際に、「商品説明が冗長で分かりにくい!」「A社の事例は背景情報をもっと補足して説明すべきだ!」と言うように部分的なスキルを取り上げて指摘するリーダーが多いが、これは枝葉の部分だ。
営業活動には、いろんなコミュニケーションスキルを組み合わせた「一連のやりとりの流れ」がある。前後の文脈によって、商品説明や事例説明の仕方は異なるはずだ。
つまり、重要となる幹の部分は、商談のやりとりの流れが妥当だったか、その流れに則したヒアリングや説明ができていたかどうかだ。
一連のやりとりの流れを「型」として教えよ!
武道にも「型」がある。相手に仕掛け、その反応によって得意技を繰り出し勝負を決める。その一連の動作を「型」として覚える。営業活動もお客様の反応によって、自社の商品のアピールの仕方や事例の説明方法は異なってくる。この一連の流れを「型」として教えることが重要なのだ。
住宅リフォーム会社の例で「型」を説明しよう。
【ステップ1】
お客様を観察する
•小学生くらいの男の子3人兄弟の写真が玄関に飾ってある
•子供用のサッカーユニフォームが部屋に干してある
【ステップ2】
ニーズ、お困りごとを想定して質問する
•「3人のお子さんがサッカーされているんですね。洗濯が大変でしょう?」
•「雨の日などは、干す場所に困りますよね?」
【ステップ3】
施工事例で商品サービスのメリットを伝える
•「A様邸では「浴室乾燥機」を設置されたのですが、洗濯乾燥機よりも多くの衣類を早く乾かすことができたと喜ばれていました。」
上記のステップ1~3に示す、観察⇒想定質問⇒事例紹介でメリットを伝える、という一連の流れが「型」だ。観察する事象によって、ニーズも変わり、伝える事例も変わる。
まず、このステップ1~3のバリエーションを「型」として教えることが重要なのだ。
そして、「型」を実践する精度を上げるために、ステップ2の想定質問スキルや、ステップ3の事例紹介スキルを磨いていく。
ぜひ、「型」と「スキル」の考え方を切り分けて、メンバー教育に取り組んで欲しい。
次回は、営業チームで行う事例勉強会のコツについてお伝えしたい。