読めばわかるコラム:Vol.48 営業力アップに効果的!正しいPDCAの回し方(2)〜営業戦術編〜
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前回のコラムでは、「営業戦略」のPDCAの回し方において、ターゲッティングの精度を上げていくCheck(振り返り・検証)部分が重要であることを述べた。一方、「営業戦術」のPDCAとは、営業戦略をチームメンバーが遂行できるように、その効果的な売り方の精度を高めていく活動だ。
今回は、「営業戦術」におけるPDCAについて解説する。
Plan:営業戦術の「計画」ポイント
営業戦術のPlan(計画)の第1のポイントは、以下の①②の観点を踏まえて営業メンバーと「訪問のゴール」を設定することだ。
1)お客様の購買心理(どんな考えや気持ちになって欲しいか)
2)お客様から引き出したい発言や行動
例えば、競合サービスのリプレイス営業をする場合の初回訪問のゴールとして、
1)⇒お客様が「競合サービスとの違いを実感したい」と思って(心理)
2)⇒デモンストレーションの実施に合意する(行動) と設定できる。
営業戦術のPlan(計画)の第2のポイントは、お客様が示すネガティブ反応を想定し、その対処策を営業メンバーが実践イメージをもてるまですり合わせることだ。
例えば、「デモを行うとしても準備が大変そうだ」というお客様の反応が予想できるとしたら、それを払拭する説明の仕方をシミュレーションしておくことなどが挙げられる。
この2点を訪問前にメンバーとやりとりをしておく面談を、フィードフォワード面談という。まさに、営業戦術のPlanをメンバーとすり合わせる面談だ。これをしっかりと行うことで営業の精度も上がり、訪問後のCheck (検証)・Act(改善)も活きてくるのだ。
Check:営業戦術の「検証」ポイント
では、営業戦術の Check (検証)とは、どうすることか。
それは、想定していたお客様の反応とのズレを訪問後に振り返ることだ。
つまり、 Plan (計画)のときに設定したゴール=「①お客様の購買心理 ②お客様から引き出したい発言や行動」が、実際にはどうだったのかを事実ベースで確認することだ。
例えば、顧客訪問してきたメンバーに、「どうだった?」と声をかけると、
「なんとか、デモはできそうです」という返答だったとしよう。でもこれは、事実ベースの確認ではない。
「ちょっと微妙な感じだけど、実際にはお客様はどう言われたの?」と、お客様の反応を意訳せずにメンバーから聞くことがポイントだ。
「『デモをして頂くことは、構いませんよ』という言い方でした」となれば、お客様はあまり積極的な姿勢ではないことがわかる。この事実確認を正確にすることで、リカバリー策の精度も高くなり、どうして想定とズレたのか、その原因をメンバーと考えることができるのだ。
Act:営業戦術の「改善」ポイント
PDCAのAct(改善)の部分を「営業の次の一手を練ることだ」と思いがちだが、そうではない。
上記ケースのように、デモの快諾を想定していたが、必ずしも乗り気ではない反応だった場合、その善後策としてどうするべきか?を考えることは、もちろん大事だ。
ポイントは、それだけで終わるのではなく、今後、同様のケースが起こったときに、どうすればより上手くいくのかをメンバーとすり合わせることが、“Act”すなわち改善のポイントだ。
訪問後にこのようなやりとりをする面談を、フィードバック面談という。
最後に、“改善”というミュアンスを強調すると、思わしくない結果ばかりに着目してしまいがちだ。それだけだとメンバーが萎縮したり、自信をなくしてしまう可能性もある。
うまくいったこと、狙い通りの結果になったことに着目して、成功要因についてメンバーとやりとりをして欲しい。メンバーのテンションは必ず上がる!
往々にして、結果が良かったときは、振り返らないことが多いのだ。メンバーに成功パターン、勝ちパターンを意識づける良い機会なので、ぜひ、心がけて欲しい。
次回は年上メンバー/年下メンバーとの接し方についてお伝えしたい。